沖縄の視座から①/沖縄タイムス 1994.5.14沖縄の視座から①/沖縄タイムス 1994.5.14

ぼくたちにとって、5.15とは・・今年も何事もなかったかのようにやってくる。5.15の意味は確実に変容している。祖国復帰から日本復帰へそして沖縄返還という微妙なニュアンスの変化のように時と共に社会も変化した。・・・沖縄が返還される前の1960年代「祖国復帰運動」が年から年中いたる所で展開されていた。しかし、誰が「沖縄返還」と言わず「祖国復帰」と言い出したのだろう・・・・島じゅうが「祖国」「祖国」と泣きわめく赤子のように騒がしかった。・・・・ぼくたち日本人?・・・戦後生まれのぼくたちは祖国を知らなかった・・・どんな顔してどんな性格をしているか知らなかった。・・・しかし今、「日本」も「祖国」も疑わしくなった・・・。「祖国」は幻想でしかなかったのか・・・・「母と子」に見立てるしか術はなかったのか?ぼくたちは「母」が冷たかったことを知っている。・・日本国を守るためにダイナマイトを抱えざるを得ない「子」にされた。・・・