1984年10月15日~28日
3周年を記念して準備を進めておりました画廊の移転が10月1日をもって無事終了することが出来ました。これも平素からの皆様のお引き立てのお陰と感謝致しております。さてオープニングとして池田満寿夫の「女・男」の世界を企画致しました。池田氏の現代のエロスをどうぞお楽しみ下さい。 (上原誠勇)新画廊:那覇市泉崎
「おんな・おとこ」は、秘密出版ではない。最初から公開する目的で制作された詩画集である。だからそれらの事情を考慮して、情愛の直接的な表現はさけ細心の注意を払って様々な工夫をこらし、私独特のエロチカを唄いあげたつもりだ。それでも何点かは税関でクレームがついたが、この詩画集がワイセツであるかどうかは私には問題ではない。これからの作品が絵画的にいいか、わるいかだけである。エロチシズムな探求は私の終生の主題である。人間ほど官能的な動物はいない。エロチシズムは人間の観念のなかで創造力に最も衝動を与えるイメージの源泉であると信じている。それは人間の欲望を昇華させる。ピカソは「美は痙攣である」と言った。私はその言葉が好きだ。 池田満寿夫 (雑誌1枚の絵「おんな・おとこ」特集より)
見る見るうちに部屋がデッサンの山にうずまっていった。さし絵のようになってはならず、ヴェルレーヌのエロティシズムとポエジーにどう自己を合わせていくかに悩んだらしい。こんなに “おとこ” を描いたことも初めてであった。満寿夫は、どんなに官能美を歌いあげても淫靡にならず、ユーモアがあって底抜けに明るい。今回もその例外ではない。むしろ透明感が増してきたために特長は一層強調されたように思う。すでに四年もの間、満寿夫と暮らしながら私は心から素敵だと感嘆するのは、その創作能力である。 バイオリニスト・佐藤陽子 (雑誌1枚の絵「おんな・おとこ」特集より)