1985年5月18日~31日

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沖縄の風土にひたすら拘り、その根幹の核にあるものを現代的な感覚で直射してシャープな線と力強い構成でイメージを展開してきた城間喜宏先生。その厳格なまでに整理された画面は幽幻の世界へいざない、見る者を太古のタイムトンネルをくぐらせ、透明なブルーの支配するニライカナイの世界へはめ込む。 あの古代幻想シリーズが今、少しずつ変化し始めているようだ。 
ごく最近の作品は、睡直の視点から水平の視点へ、沖縄の風土から曼陀離の宇宙へと視点が移行しつつあるように見える。昨年の冬、渡仏した際に制作された一連のドローイングの作品もその現われではないだろうか。脈々と生きづいており、魅力にとんだ具象の作品となっている。又、これまでの抽象の展開では仲々見ることの出来なかった氏の叙情を帯びた繊細な感性がやわらかなモノトーンの世界に見る事が出来るのは、見る側の大きな悦びでもあり、氏の新たな表現テリトリーの獲得ではないだろうか。このニューテリトリーのもつ自由さと広がりの展開は我々を魅了して止まないにちがいない・・・。どうぞご高覧くださいませ。